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ぱんちゃん璃奈選手が前十字靭帯を断裂! 選手生命への影響は??

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誕生日をむかえ未来への大きな夢を語ったぱんちゃん璃奈選手の前十字じん帯断裂の情報がありましたね。


マススパーリングをやっている最中に、前蹴りをキャッチされて軸足を払われた時に、ヒザの横に蹴りをもらってヒザが内側に入ったことで断裂してしまったと説明。「息が出来ないくらいの衝撃があって。次の日にMRIをとったら靭帯断裂。手術しないと戻らないということで入院することになりました」と、4月13日に手術を受け、10日間入院するという。

(Web版『ゴング格闘技』より引用:https://gonkaku.jp/articles/10099

 

選手生命を脅かすほどのケガは、アスリートにとって何としてでも避けたいところ。しかし、どんなに気をつけていてもケガのリスクをゼロにすることはできません。

 

 

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ぱんちゃん 璃奈🌈(無敗の女王更新中♪)(@panchanrina)がシェアした投稿

 

選手生命を脅かす中でも代表的な大きなケガが「前十字靭帯の損傷・断裂」です。有名アスリートたちも経験している前十字靭帯のケガとはいったいどのようなものなのでしょうか。

  • 前十字じん帯とは?
  • 治療やリハビリは?

 

前十字靭帯とは

 

前十字靭帯は、膝の関節についている大腿骨と脛骨(スネの骨)をつないでいる靭帯のこと。

膝についている重要な靭帯には、この前十字靭帯のほかに後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯があり、どれも膝の安定性を保つために重要な働きを持っています。

 

前十字靭帯は脛骨が前方へ動かないようしたり、膝の捻りを防いだりする働きを持っています。

 

前十字靭帯はACL(Anterior Cruciate Ligament)と略されることも多く、ACL損傷・ACL断裂とは、この前十字靭帯のケガのことを指します。

断裂について

靭帯は繊維質の集合体です。繊維の一部が切れてしまうことを損傷、全部が切れてしまうことを断裂といいます。前十字靭帯が断裂してしまうというのは、かなり大きなケガです。しかし、スポーツの世界では前十字靭帯断裂は珍しいケガではありません。

 

前十字靭帯の損傷・断裂は、スポーツ外傷(ケガ)としてみれば頻度は高く、様々な競技において発生します。

 

発生するタイミングは大まかに2つ。

 

1つは、相手選手との接触によって発生するものです。外力により膝関節に異常な回旋力が加わって損傷してしまうのです。これは、ラグビーやサッカー、柔道などのコンタクトプレーがある競技で起こります。

 

2つめは、ジャンプの着地、ダッシュ中などでの急な切り返し動作、急激なストップ動作などで発生するもの。これは相手選手との接触がないバレーボールやスキー、バスケットボールなどでも起こってしまいます。

 

格闘技の場合はどちらの場合でも起こり得るといえるでしょう。

例えば、寝技の際に膝を押さえつけられたり、相手からの外力に対して無理に耐えたりした時だけでなく、ジャンプ・キック動作などで踏ん張ったときなど、様々なタイミングで断裂する可能性があるのです。

 

靭帯が損傷したり断裂した場合、受傷時には関節がグキッという音を感じたり、激しい痛みを感じます。

受傷後、時間がたつにつれて炎症が広がり膝が腫れてきたり、内出血が見られるようになります。

 

 

治療、手術、リハビリについて

前十字靭帯が損傷・断裂した場合、どのような治療を経て復帰するのでしょうか。

 

 

アスリートは手術が必須

前十字靭帯損傷・断裂の治療には、「保存療法」と「手術療法」があります。一般の方であれば、手術のリスクや、リハビリの期間などを考慮し、手術を避けて保存療法を選ぶ場合がありますが、アスリートの場合、競技復帰のためには手術することがほとんどです。

 

残念ながら靭帯は筋肉の様に切れてしまうと修復されることはありません。痛みがなくなっても切れたままなのです。前十字靭帯の断裂は膝の関節が緩くなって不安定性が高まってしまうため、切れたままでは

膝が外れる感覚や、力が急に抜ける “膝崩れ” という現象が生じやすくなります。これは激しいプレーをするアスリートにとって致命的な現象です。残念ながら、損傷した前十字靱帯は保存療法で100%の状態にまで修復することはありえません。

 

手術は切れた靭帯を縫うわけではありません。腱を靭帯の代わりに移植するのが一般的です。主に使われるのは太ももの裏の筋肉の腱。何度も繰り返し断裂をしてしまった場合は、膝の骨の下の腱を使うこともあります。

 

 

復帰までの期間

前十字靭帯断裂の場合、最低でも術後6ヵ月、試合復帰となると1年程度はかかると思っておいた方が良いでしょう。

 

リハビリも段階を経て課題をクリアしていき、試合復帰に向けていきます。ここでは、リハビリの目安として、一つの例を挙げて紹介していきます。(※リハビリメニューはあくまでも目安です。状態によって異なります。)

 

日常生活復帰へのリハビリ

術後 翌日~1 週

最も大切なことは、炎症や腫れを抑えることです。そのため、アイシングは欠かせません。

また、患部が固定されているまま、膝回りに力を入れる意識を練習します。。

 

術後1~2週

他人に動かしてもらいながら、膝を曲げ伸ばしします。この頃には膝に力を入れる感覚がしっかりとしてきます。

 

術後2~3 週

膝を自分で曲げ伸ばししたり、松葉杖を使い体重を全てかけないようにしつつ、歩く練習をします。まだ、膝を安定させる装具はつけたままリハビリを行います。通常であれば、大体この辺りで退院することになります。

 

術後3~4 週

この頃になると、装具外して歩けるようになります。ただし、全体重はかけずに松葉づえは使用します。

 

術後4~5 週

松葉杖を外し、全体重をかけて歩行、階段の昇降を行います。

この辺りで日常生活への復帰を果たします。

 

スポーツ復帰に向けてのリハビリ

術後5~12週

ここからはスポーツに復帰するために、筋力、バランス、筋持久力などを高めるリハビリが開始されます。

まだ完全に膝に負荷をかけられないので、衝撃のあるジャンプ動作やダッシュ動作はできません。

ウォーキング、スクワット、ランジ、ステップ、片脚バランス、などを行います。

 

競技復帰に向けてのリハビリ

術後12週以降~

ある程度筋力などの能力が高まってきたら、徐々に競技動作を取り入れたトレーニングに移ります。

ランニング、ジャンプ着地、ダッシュ、ストップ動作、切り返し動作、バランス動作など、膝の調子を見ながら負荷を高めていきます。

 

競技復帰

術後6ヵ月~1年程度。

リハビリや競技練習を通して動きを改善しつつ、膝の痛みや動作の習得具合を見て、競技復帰を果たします。

 

 

格闘技にどのような影響がおこるのか
前十字靭帯を損傷・断裂してしまった場合、その後どのような影響があるのでしょうか。

 

・膝が伸びにくい(関節可動域の低下)

損傷した膝はもちろんですが、腱を移植した部分も手術の影響を受けます。

一番感じやすいのが、膝の伸びにくさではないでしょうか。日常生活でも長時間座っていたりすると、膝が固まってしまったように伸びにくくなる場合が多いです。

キックボクシングでは、キック動作の時に膝が伸びにくいという影響が出るかもしれません。膝の関節可動域をしっかり使えないことで、キック動作の威力が減少してしまうことが考えられます。ストレッチを日頃から心がけることで、筋肉の柔軟性を維持することが大切です。

 

・踏ん張りにくい

手術してリハビリをしたとしても、膝の状態が完全に元に戻ることはないといえるでしょう。影響の一つが、軸足で踏ん張るときの踏ん張りにくさ。痛みはないにしろ、力が入りにくい感覚や、不安定さを感じることがあります。

もちろん、膝回りの筋肉をしっかり強化することでカバーすることができるので、格闘技の練習と並行して太ももの筋肉を鍛えていく必要があるでしょう。

 

・恐怖心

ケガをした時の痛みや恐怖感は、なかなかぬぐえません。痛みはなくなり、本人は気にしているつもりはなくても、ケガした膝を無意識的にかばっていたり、かばうような動作が癖になっていることがあります。

またその癖によって、ほかのカラダの部分に負担がかかりやすくなり、今まで気にならなかった部分の痛みを引き起こす場合もあります。

 

膝をかばうことで、思いっきりさが出せなくなり、踏み込みが甘かったり、動作のタイミングが遅れたりなどの影響が出るかもしれません。

 

・しっかり治さないと再発してしまう

前十字靭帯断裂は、再発することもあります。特に早期に競技復帰した場合は注意が必要です。痛みがなくなったとしても、ケガや手術の影響から、膝の安定性は低くなったままです。しっかり筋肉を強化している場合は良いのですが、焦って競技復帰を早めてしまうと、同じようなタイミングで受傷してしまうリスクが高まるのです。

 

また、断裂したまま放置すると膝崩れなどを繰り返し、靭帯だけでなく半月板や軟骨を損傷してしまうリスクが高くなります。年齢を重ねるとこれらの影響から、関節軟骨がすり減って痛む高齢者に多い疾患変形性膝関節症の発症リスクが高まるので、早期の治療・手術を検討する必要があります。

 


 

過去に前十字じん帯断裂、損傷したスポーツ選手

過去にどのような選手が前十字靭帯断裂・損傷を経験したのでしょうか?

ケガをした時の選手たちのコメントも併せて紹介します。

 

 

 

 

堀口恭司 選手

総合格闘家としてトップレベルの選手 堀口恭二 選手も、前十字靭帯断裂を経験しています。

 

──そして練習中に右足の前十字靭帯を断裂したと。

 

「ハイ。ノーギで柔術の練習をしていて、下になっていたときに軽くヒザを押されただけで。もう何の音も、衝撃もなくスッとヒザが外れて。『うわっ、外れた』って自分でもすぐに分かりました。もうずれて、ボコってヒザがなっていたので。ごくごく普通の攻防の時だったんですけどね、やっぱり前からヒザはずっと痛かったので。

靭帯が緩々になっているのも感覚的に分かっていましたしね。で、まあ自分でずれた部分を直して……」

 

──えっ?

 

「自分でずれたところを戻して、次の日がMMAのスパーリングの日で。ステップを踏んだだけでまた外れてしまったんです」

 

──いや……ノーギ・グラップリングのときに切れたことが分かったのに、そこで医者に診てもらわず次の日に練習を行ったと?

 

「そうです。まぁ、大丈夫かなぁと思って」

 

──いやぁ、気持ちが強いのにも程度がありますよ(笑)。

 

「アハハハ、阿呆なんですよ。マネージャーには『変態だ』って言われますけど、まぁ阿呆なんです(笑)。ステップを踏んで外れた時は、もうさすがに『これはダメだ』ってなりましたけどね。そこでコーチも練習を中断させて、そのまま病院に行きました」

 

──前十字靭帯の負傷明けの選手は動きが変わってしまうこともありますが、その辺りについて不安は?

 

「全然ないです。ない(笑)。手術をすれば、より良くなるという説明を受けて……医者も『手術をして、運動機能が上がった選手も多い』と言っていますしね。その言葉を信じた自分を信じているんです(笑)。だから、楽しみが増えました。いや、バカですよね(笑)」

MMAPLANETより一部引用 https://mmaplanet.jp/99534

 

 

山本“KID”徳郁 氏

生前、総合格闘技で活躍した 山本“KID”徳郁 氏も、前十字靭帯を断裂した一人です。

 

――昨年7月、出場を予定していた『DREAM5』の直前に、「右ヒザ前十字靭帯断裂」という大ケガをしました。その時の状況を教えてください。

 

「それまで、ものすごく調子が良かったんですよ。何も怖いものがないくらい。どんな野郎が相手でも、一瞬で(試合を)終わらせる自信があった。調子が良いまま、試合の4日前までスパーリングをバンバンやってたんですよ。それで飛びヒザ蹴りをやって、着地したときに、足が不自然に横に曲がって」

 

――それで、ブチッと。

 

「ブチッどころじゃなくて、“ボゴーン”って感じの音がした。それで、『ああ、やっちゃった……』って」

 

――それほどの感触だったら、次の試合は出場できそうにないとすぐに悟りますね。

 

「うん、確実に。でも、そんなに大きなケガだと思わなかったんですよ。今回はちょっとヤバいな、次の試合はいつになっちゃうのかな、くらいに思ってた。それで病院に行ったら、『前十字靭帯が切れてるから、すぐに手術が必要だ』って言われて、『なんだ、それ』ってね(苦笑)」

 

――痛みはかなり。

 

「痛いのは痛いっすよ。でも、叫んだりしたらもっと痛くなりそうだったから、とりあえず落ち着こう、と。痛みよりも、この先のことが気になった。いつ治るのか、試合はできるのか、そういうことに意識がいった」

足に力が入らない。まるで自分の足じゃないみたいだった。

 

――手術はいつ頃でしたか。

 

「8月1日。入院期間は1カ月半くらい」

 

――リハビリは順調でしたか。

 

「最初は大変だったな。力が入らないから。まったく動かなくて、まるで自分の足じゃないみたいだった」

 

――そこから徐々に動かしていった。

 

「本当、徐々にですね。自由に曲げることもできなかったから、ゆっくりと動かしていった。足もすごく細くなって……。鍛えないと、筋肉が落ちるのは早いね」

(Number Webより一部引用 https://number.bunshun.jp/articles/-/12044

 

まとめ

・前十字靭帯損傷・断裂は、発生頻度が多いスポーツ外傷の一つ

・前十字靭帯を断裂すると、競技復帰までには1年程度かかる

・リハビリをしっかり行っておかないと、再発してしまう可能性がある

・前十字靭帯損傷・断裂で、パフォーマンスに影響が出る場合もあるが、日頃からのセルフケアやトレーニングでカバーできる